仮説:ホームランが出やすい球場の方が集客率が高くなるのではないか
野球の醍醐味はやっぱりホームラン。観客としてはやっぱり頻繁に点数が入った方が楽しいですよね。近年ではNPBでも外野のフェンス手前にホームランゾーンを設置して、ホームランがでやすくしたり、フェンスを低くしてより臨場感を味わえるように球場をカスタマイズする球団も出てきました。
じゃあどのチームももっとホームランが出やすいようにラッキーゾーンを設置すればいいじゃん?と思いますが、実際どうなんでしょうか。ということで、この仮説を検証してみました。
球場別ホームラン数ランキング(2019年)
球場 | 本塁打数 | 本塁打率 | |
1 | 東京ドーム | 219 | 0.428 |
2 | 明治神宮球場 | 192 | 0.417 |
3 | 横浜スタジアム | 192 | 0.403 |
4 | ヤフオクドーム | 167 | 0.393 |
5 | メットライフドーム | 153 | 0.338 |
6 | ZOZOマリンスタジアム | 136 | 0.290 |
7 | 楽天生命パーク | 125 | 0.288 |
8 | マツダスタジアム | 118 | 0.248 |
9 | 京セラドーム | 90 | 0.187 |
10 | 阪神甲子園球場 | 79 | 0.189 |
11 | 札幌ドーム | 76 | 0.196 |
12 | ナゴヤドーム | 73 | 0.154 |
坂本勇人が巨人生え抜きのショートで初めて40本塁打を放ったジャイアンツが本拠地とする東京ドームが本塁打数、本塁打率ともに1位。気圧の関係で打球が飛びやすいというイメージ通りの結果ですね。
2位が両翼が97.5mと狭い神宮。山田哲人、バレンティンに加え、高卒2年目ながらブレイクを果たした村上が36本を放ったヤクルトが本拠地としています。3位には両翼が94.2m、「面積が最も狭い球場」である浜スタが入りました。
逆に球場が広く、ラッキーゾーンも設置していないナゴヤドームが最もホームランのでにくい球場となりました。
次に各球場の観客動員をみていきましょう。
観客動員数ランキング(2019年)
球場 | 試合数 | 平均観客動員 (各球場のみ) | |
1 | 東京ドーム | 64試合 | 4万4883人 |
2 | 阪神甲子園球場 | 62試合 | 4万4173人 |
3 | ヤフオクドーム | 64試合 | 3万3808人 |
4 | ナゴヤドーム | 71試合 | 3万2017人 |
5 | 横浜スタジアム | 71試合 | 3万1811人 |
6 | マツダスタジアム | 70試合 | 3万1569人 |
7 | 明治神宮球場 | 67試合 | 2万7980人 |
8 | 札幌ドーム | 58試合 | 2万8202人 |
9 | 楽天生命パーク | 66試合 | 2万6251人 |
10 | メットライフドーム | 66試合 | 2万6075人 |
11 | 京セラドーム | 60試合 | 2万5388人 |
12 | ZOZOマリンスタジアム | 70試合 | 2万3191人 |
当然、町の人口や、球場の最大収容数も異なりますが、一旦数字だけみてみるとこんなランキングになります。ホームランがでやすい神宮球場は動員数では7位。逆に最もホームランがでにくいナゴヤドームが4位と大きな変化があるのがわかります。
では2019年からホームランラグーン(ラッキーゾーン)を増設し、球場の広さが変わったマリンスタジアムの数字をみてみましょう。
検証:ホームランラグーン増設の効果は
ホームランラグーンを設置し、2018年から2019年にかけてホームラン数が大きく上昇したZOZOマリンスタジアム。
年度 | チーム本塁打数 |
2015年 | 85本 |
2016年 | 80本 |
2017年 | 95本 |
2018年 | 78本 |
2019年 | 158本 |
もちろんホームランラグーンができたことだけではなく、移籍1年目から32本のホームランを放ったレアードの加入や、打率を大きく落としたものの本塁打数は倍増した中村奨吾をはじめ、フライボール理論に基づいて各選手のバッティングに対する意識が変わったこともホームラン数が増えた要因にはなると思います。
いずれにしてもフェンスが近づいたことで、選手が「これならホームラン打てるかも」と積極的になったことは想像に難くありません。
2018年の平均観客動員は2万3026人だったので、平均165人の増加。70試合だと合計1万1550人の増加となりました。12球場の中で最下位とはいえ、1年間の合計観客数は、過去最高を記録。マリンスタジアムの結果だけを見ると、球場に手を加えた1年目としては、成功と言えそうです。
参考:ヤフオクドーム(福岡)
2015年にホームランゾーンを設置したヤフオクドーム。ソフトバンクのチーム本塁打数は2014年の95本から141本まで増えました。
2014年のホームラン数チームランキングは上位から、李大浩19本、内川と松田が18本、ついでこの年初めて規定打席に到達した柳田が15本でした。
それが2015年には、軒並みホームラン数が上昇。松田35本、柳田34本、李大浩が31本とチーム本塁打数は148%増加しました。新しくホームランバッタータイプの打者が加入したのではなく、同じ選手が大きくホームランの数を増やしているのが面白いですね。では、観客動員数はどうでしょう。
年度 | 平均観客動員数 (ホームゲーム合計) |
2014年 | 3万4284人 |
2015年 | 3万5211人 |
1試合平均で927人伸ばしているので、年間でおよそ6万人以上の集客力アップにつながりました。
結論:ラッキーゾーンを設置すると観客数は増える
ホームランの出やすい球場が観客数も多いとは言い切れないが、「ホームランが出やすくカスタムすると観客動員は増える」といえる結果になりました。
もう一つ見えたのは、ラッキーゾーンを設置することで、「そこまで力まなくてもホームランを打てる」と意識が積極的になるということ。特にホーム球場がそうなった際には多くの選手に変化があることがわかりました。
次回はラッキーゾーン増設の費用対効果まで切り込んで検証してみたいと思います。
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